昭和初期に杉と欅を使って作られた手作りのタンスをリニューアルしてみました。
家具職人でも大工でもないお祖父さんがDIYで作った作品です。
昔のDIYや日曜大工
大正や昭和初期の時代は商品を買う今の時代ではなく、作れる物は何でも手作りする、まさにDIY(自身で作る)時代でした。
山間の山村では雪深い冬場に木工品から竹、藁、何でも自給自足で賄う知恵が染み付いていたようです。
そんな手作りで高級感は在りませんが、想い入れの多いタンスのリニューアルに挑戦です。
古いタンスの材質と仕上げ
タンス箱部分の天板、側板、引き出し前面は欅、それ以外は杉板が使われています。
今では貴重な欅も昔は豊富にあり、自らの山林の木を利用しています。
欅は木目が美しく、芯に近い赤み部分は磨くほどに光沢が出て黒光りしていきます。
但し、外側に近い白い部分は腐食しやすく、伐採されてから長い期間、外部で白い部分を腐らせたり乾燥させて反りや狂いを見極めてから製材され、高級材として扱われてきました。
べにがら
塗料にはべにがらが使われています。
べにがらは、べんがら共呼び、酸化鉄と削り炭を混ぜ合わせて、にかわで溶いた物で、建物外部の木部分や内部の柱や梁に塗る事で、防腐効果が有り、関西の北部地でに普及していました。
京都御所の白木造りに配慮して御所の北部や鬼門に当たる地域で普及したと言う説もあります。
準備編
傷やシミも多くあり、タンス引き出し金具や角補強の飾り金物も錆びています。
べにがらも剥げたり、艶もないので塗装もやり直します。
底の台枠、はかま部分が一部腐食しているので取り替えます。
引き出しの滑りが悪いので滑りやすくしてみます。
塗装をやり直すには、べにがらを落としてからになりますが、ペーパー掛けで落とします。
まずは、タンス金具や飾り金物を取り外す事から始めます。
タンス金具や飾り金物の取り外し
引き出しの取っ手金具は引き出し内側で曲げて挟み込んであるので、内側を伸ばし、外します。
金具も再利用の予定なので慎重に外します。
次に、角補強の飾り金物を止めている釘を抜きます。
ステンレスのヘラを使い釘の頭を浮かします。
わずかに浮けばバール(釘抜き)で抜く事が出来ます。
全ての金物の取り外しが出来ました。
小引き出しの錠前と取っ手金具以外の飾り金物は手作り品の様です。
サイズや釘穴の位置も違います。
角部分で切れた角金物もありますが補強より飾りの意味合いなので再利用します。
底の台枠に欅の白い部分が使われていた為、一部が腐食しています。
取り外して桧の台枠に交換します。
竹釘
台枠を取り外した所、竹釘が使われていました。
タンスの外枠も全て竹釘で固定されています。
竹の皮部分を残しテーパー状にする事で釘や、目違いを防ぐ、合い釘の役目を果たします。
にかわの糊と併用して使われた様です。
ビスや釘ほどは締め付け効果は無いですが、使用されていた釘や金物が錆びたり腐食していたのに比べ、腐食も無く、竹釘の威力には驚きです!
次はペーパー掛け中心の補修編です。
大工の親父からのワンポイントアドバイス
古い作品を修理する事で貴重な材料や工法も学べ、作られた時代を偲ぶ事も出来るので昔の作品を大切に守りたいネ!